グループ会社のPan Pacは、希少動物「キウイ」の保護活動をニュージーランド環境省や市民ボランティア等と共同で行っています。本活動は、キウイ幼鳥を保護するため約40haの保護区を設け、周辺地域から幼鳥や卵を捕獲し、孵化した幼鳥や捕獲した幼鳥を保護区で育成し、野生に戻すものです。
2019年6月にはキウイ保護団体「Kiwis for Kiwi」が主催する全国キウイ会議においてコーポレート・オブ・ザ・イヤー賞を受賞しました。
王子グループの海外植林地の中で最大規模を誇るのが、ブラジル・ミナスジェライス州でユーカリの植林・パルプ事業を行っているCENIBRAです。同社は25万haの社有林を保有・管理し、うち10万haを保護林エリアとして維持しています。保護林エリアは、ブラジルの森林法で生物多様性保全を目的とした保護の対象となっており、自然林の他、水源地を含む河川や湖沼周辺の在来植生も保護しています※1。
同社の生物多様性への取り組みを象徴するのが、560haが民間自然遺産保護区(RPPN※2)として国に認定された「マセドニア・ファーム」です。ここには「大西洋岸森林(マタ・アトランチカ)」の貴重な生態系が残っており、森林認証における高保護価値エリアとしても特定し管理しています。生物相の定期的なモニタリング調査では、2023年までに鳥類415種、哺乳類84種を含む639種の脊椎動物が観察されました。
この内、絶滅危惧種の「ムトゥン(アカハシホウカンチョウ)」等の野鳥を対象に、1990年から地元NGOと協力し、繁殖・飼育して自然に返す活動を行ってきました。これまでに計7種480羽の放鳥を行い、放鳥個体から300羽以上が野生化で産まれています。現在は、州の協力を得て、CENIBRA自社林に隣接する州立公園内へも放鳥することを計画し、未だ絶滅危惧レベルが高い3種の更なる個体数増加と生息地拡大を目指しています。
王子ホールディングスは、2009年、北海道猿払村の猿払山林の河川域に生息する絶滅危惧種「イトウ」の保護を目的に、現地NPO、行政、研究者らと共同で「猿払イトウ保全協議会」を設立し、河川域を含む2,600haを保護区域に指定して保護活動に取り組んでいます。
ヤイロチョウは複数の体色を持つ体長20cmほどの渡り鳥です。環境省のレッドリストでは絶滅危惧種IB類※に指定されています。
王子ホールディングスは、2016年8月、公益社団法人生態系トラスト協会のヤイロチョウ保護区に隣接している社有林260haにおいて、同協会と「ヤイロチョウ保護協定」を締結しました。2023年10月には同社有林が環境省により「令和5年度前期自然共生サイト」に認定され、2024年8月、「Other Effective area based Conservation Measures(OECM)※」として国際データベースに登録されました。