Environment 環境

森林破壊・転換ゼロコミットメント

森林破壊・転換ゼロコミットメント

森林破壊・転換ゼロコミットメント

2024年12月26日

森林は、木材資源の生産機能に加え、二酸化炭素の吸収・固定、生物多様性保全、土壌保全、水源涵養、文化や伝統をはぐくむ場の提供など、多様な公益的機能を有しています。王子グループは、150年以上にわたる歴史の中で森林に根付いた事業運営を通して、森林の持つこの豊かな機能と価値を理解し、地域社会と協力して森林を育ててきました。
世界では大規模な森林減少がなおも進行しており、1990年から2020年の30年間に全世界で1億7800万haもの森林が減少したとされます※1。自然生態系へのこの重大な脅威に改めて向き合い、持続可能な社会の実現に向け貢献していくことは、森林に根付いた事業を行う我々の重要な責任と認識しています。

コミットメント

我々王子グループは、森林破壊・転換※2を行いません。

範囲・目標

王子グループは、様々な取組みを通して、森林破壊や転換のない、持続可能な森林管理および木材原料調達を行ってきました。その取組みを継続し、さらに向上させ、森林破壊・転換ゼロを達成していきます。
コミットメントの範囲には、自社の森林管理および、調達する木材原料のサプライチェーンを含みます※3。2025年内には、木材原料の調達指針の更なる改善と実施、また、国連人権理事会「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った苦情処理のメカニズムの整備を行います。

人権の尊重

人権の尊重は、責任あるサプライチェーンの中核をなす要素です。王子グループは、「国際人権章典」および「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の国際規範が定める人権を尊重します。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づいた同意(FPIC: free, prior and informed consent)」等の原則に基づく活動を推進します。これらを「王子グループ人権方針」に定め、先住民族、地域コミュニティ、労働者を含む、国際人権に配慮した森林経営、サプライチェーン管理を行います。

取組み

1) 全社的な体制
グループCEOを委員長、取締役を委員とするサステナビリティ推進委員会を設置しており、サプライチェーンリスクおよびその対策に関する事項を審議し、取締役会が監視・監督しています。また、グループ横断的な統括管理部門であるサステナビリティ推進本部が、サステナビリティ関連の取組みを全社的に推進する体制を構築しています。

2) 自社の森林管理
王子グループは、世界に635千haの広大な森林を保有・管理しています。「王子グループ持続可能な森林管理方針」の元に、環境および地域社会に配慮した持続可能な森林経営を実践しています。そして、「環境行動目標2030」において、2030年までに自社林における森林認証取得率100%を達成する目標を設定しています。

3) 新規事業の計画
新規事業の計画にあたっては、経済面のみならずESGの観点を含めてリスク評価を行っています。森林経営における新たな土地取得においては、人権とFPICを尊重すること、環境・社会的リスクがないことの確認もしくはリスクに対し必要な回避・低減策を講じること、森林認証を取得できることを前提としています。

4) サプライチェーン管理
王子グループは、原材料の調達に際し「王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を定めています。当指針は、国連グローバル・コンパクトの定める人権、労働、環境、腐敗防止といった、国際的に重要性の高い理念に基づいて構成されています。2020年度からは、主要サプライヤーに対し、サプライヤー・サステナビリティ調査を実施し、実態把握とリスク管理に活用しています。
また、行動指針の元に定めた「木材原料の調達指針」に基づき、木質チップ・パルプの全てのサプライヤーに持続可能な木材原料の生産を求めています。サプライヤーのトレーサビリティレポート等により、原料の生産地や森林認証の状況等の所定の項目を確認してリスク評価をし、リスクが高いと判断される場合は、追加文書の要請や現地監査を実施し、モニタリングを行うデューディリジェンスの仕組みを整備しています。加えて、FSCやPEFCの森林認証制度※4もツールとして活用し、森林破壊・転換がないこと、人権侵害がないこと等を検証します。基準を満たさない事が判明した場合、サプライヤーとの対話・改善要請を継続的に行い、改善されないサプライヤーとの取引は停止します。

5) 持続可能性のための協働
先住民族を含む地域社会やNGO、小規模農家を含むサプライヤーなどのステークホルダーと協働して、持続可能な森林管理実施の支援や稀少動植物の保護・育成や生態系の保全・回復に取り組んでいます。

情報開示と方針の見直し

これらの取組や結果は統合報告書やHPで毎年報告します。また、当コミットメントや関連する方針の内容は、必要に応じて見直します。

森林資源に対する考え方

森林資源は、持続可能な森林経営を行うことにより再生産が可能な、優れた資源です。また、その適切な管理と利用によって、森林の多様な公益的機能を維持・回復することができます。人工林のみならず天然林(二次林)においても、その適切な保護と利用により、自然との共生を図り、森林の機能を守ることができます。
王子グループは、再生可能な森林資源を育て、循環的に利用するビジネスモデルを構築してきました。育林管理、伐採、植栽(天然更新含む)というプロセスにおける適切な森林資源の利用は、森林破壊を引き起こしません※5
世界に635千haの森林を保有・管理する王子グループは、これからもこのビジネスモデルを発展させ、森林の公益的機能を維持し、自然生態系の保全・回復への取組みを継続・拡大することで、世界のネイチャーポジティブの達成に貢献していきます。

  • ※2森林破壊・転換:転換とは、天然林やHCVエリアからその他の土地利用への転換により、その周辺の公益的生態系機能が持続的に失われること。一般に社会・環境的利益のための最小限の転換は除かれる。森林破壊は転換の一形態であり、天然林の転換を指す。天然林には、原生林、二次林、管理された天然林、部分的に劣化した天然林を含む(AFi:Natural forest参照)。HCV= High Conservation Valueは、生物多様性、水資源の保全、文化、景観などの観点から貴重で保全価値が高いこと。
  • ※3少なくとも2020年末以降の森林破壊・転換に由来しない木材原料を調達する。このカットオフ日は、SDGsの目標15にある「2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる」という世界的な公約に基づく。
  • ※4認証制度の活用にあたっては、各認証制度が要求する基準が、王子グループが掲げる方針・指針等に照らし適切かどうか、またその信頼性等を確認する。FSC ライセンスコード: FSC C014119 他
株式会社ディ・エフ・エフ, 王子ホールディングス株式会社 広報IR室