王子ホールディングスがグループ経営戦略の策定やグループガバナンスの統括を担い、関連の深い事業で構成される各カンパニーが事業運営の中心となるカンパニー制を採用しています。これにより、事業単位の意思決定を迅速化を図ると同時に、経営責任を明確化しています。
また、王子ホールディングスは監査役会設置会社として、監査役および監査役会による取締役の職務執行の監査を通じて、グループ全体のガバナンス強化を図っています。取締役会は、取締役12名(うち社外取締役4名)、監査役5名(うち社外監査役3名)で構成しており、代表取締役会長が取締役会議長を務めます。
取締役会は株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るため、下記の役割を果たします。
取締役会の定数は原則として15名以内とし、うち2名以上を独立社外取締役とします。また、意思決定の迅速化、業務執行体制の強化および執行責任の明確化を図るため、グループ経営委員を19名(2024年4月1日現在)選出し、うち7名は取締役が兼務しています。
取締役会は、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値向上を図るために必要な役割を果たすため、当社グループが営む事業に関する多様な知見と専門性のバランスに留意して構成しております。現在取締役は12名となっており、そのうち4名は独立社外取締役です。(うち、女性取締役2名)。
また、取締役候補の指名とグループ経営委員の選任を行うにあたり、取締役会の諮問機関である指名委員会にて審議を行った上で、取締役会に対して答申します。なお、監査役候補については、指名委員会の諮問を経た上で監査役会の同意を得た後に、取締役会に答申します。
指名委員会は、社外取締役4名、会長および社長で構成されており、取締役会ではその答申を受け、審議・決定します。
監査役および監査役会は、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場において、業務監査および会計監査を行います。
監査役および監査役会は、常勤監査役の有する高度な情報収集力と社外監査役の強固な独立性を有機的に組み合わせ、社外取締役との連携を確保しながら、能動的・積極的な権限の行使に努めます。
また、監査役は会計監査人と定期的に会合を持ち、監査計画、監査実施状況および計算書類監査結果等について説明を受け、意見交換を行っています。
監査役、内部監査部は月1回程度会合を持ち、監査計画および監査結果については情報を交換するなど連携を図っています。
当社における監査役監査は監査役5名(うち、社外監査役3名)で監査役会を構成し、透明性を確保し経営に対する監視・検証を行っています。監査役は監査役会にて定めた監査計画に基づき、取締役会はもとより、その他の重要な会議に出席し、取締役の職務執行について監査を行っています。なお、監査役 山﨑昭雄は、当社およびグループ会社で財務経理部門を経験し、財務および会計に関する相当程度の知見を有しています。監査役 関口典子は、公認会計士として、企業会計に関して豊富な経験と⾼度な専門性、幅広い見識があります。また、企業での豊富な実務を経験しております。同氏は財務および会計に関する相当程度の知見を有しております。
王子ホールディングスは、4名の社外取締役と3名の社外監査役を選任し、全員を独立役員に指定しています。独立役員は、取締役会およびコーポレートガバナンス本部管掌役員による経営会議付議案件・取締役会付議予定案件の説明会(原則月2回実施)に出席し、社外取締役は指名委員会および報酬委員会を構成しています。
社外取締役候補者は、高度な専門性と幅広い見識をもち、経営と独立した立場でさまざまなステークホルダーの視点から意見を表明できる人物を選ぶこととしており、社外監査役も人格・見識に優れ高度な専門性と豊富な経験を有する人物から選任しています。
2023年度の取締役会(16回開催)への社外取締役および社外監査役の出席率は、7名平均で93.8%、監査役会(13回開催)への社外監査役の出席率は、100%でした。
区分 | 氏名 | 取締役会 出席状況 |
発言状況および期待される 役割に関して行なった職務の概要 |
---|---|---|---|
社外取締役 | 奈良 道博 | 16回中14回 (87.5%) |
当社の経営に対して、経営と独立した立場で、弁護士としての法律的な視点を含む多角的な観点および豊富な経験と高度な専門性、幅広い見識に基づいた発言を通じて、期待される役割を果たしています。 |
社外取締役 | 相 幸⼦※ | 16回中13回 (81.3%) |
当社の経営に対して、経営と独立した立場で、⾦融分野をはじめとする実業界の視点を含む多角的な観点および高度な専門性、豊富な見識に基づいた発言を通じて、期待される役割を果たしています。 |
社外取締役 | 長井 聖子 | 16回中16回 (100%) |
当社の経営に対して、経営と独立した立場で、顧客サービスや大学での教育活動で培った専門的な視点を含む多角的な観点および豊富な経験と高度な専門性、幅広い見識に基づいた発言を通じて、期待される役割を果しています。 |
社外取締役 | 小川 広通 | 16回中16回 (100%) |
当社の経営に対して、経営と独立した立場で、小売店や食品メーカーの経営で培った専門的な視点を含む多角的な観点および豊富な経験と高度な専⾨性、幅広い見識に基づいた発言を通じて、期待される役割を果しています。 |
区分 | 氏名 | 取締役会 出席状況 |
監査役会 出席状況 |
発言状況 |
---|---|---|---|---|
社外監査役 | 千森 秀郎 | 16回中16回 (100%) |
13回中13回 (100%) |
弁護士としての特に企業法務・コーポレートガバナンスの分野における豊富な経験と高度な専門性、幅広い見識に基づいた発言を行っています。 |
社外監査役 | 関口 典子 | 16回中14回 (87.5%) |
13回中13回 (100%) |
公認会計士としての企業会計に関する豊富な経験と高度な専門性、幅広い見識に加え、企業での豊富な実務経験に基づいた発言を⾏っています。 |
社外監査役 | 野々上 尚 | 16回中16回 (100%) |
13回中13回 (100%) |
検察官、弁護士としての豊富な経験と高度な専門性、幅広い見識に基づいた発言を行っています。 |
社外取締役の適切な関与・助言を得ることにより、役員およびグループ経営委員の指名に係る取締役会の機能の独立性、客観性及び説明責任を強化するため、以下の事項を審議し、取締役会に対して答申します。
社外取締役の適切な関与・助言を得ることにより、取締役およびグループ経営委員の報酬に係る取締役会の機能の独立性、客観性および説明責任を強化するため、以下の事項を審議し、取締役会に対して答申します。
地位 | 氏名 | 指名委員会 | 出席状況 | 報酬委員会 | 出席状況 |
---|---|---|---|---|---|
代表取締役会長 | 加来 正年 | 2回/2回 | 2回/2回 | ||
代表取締役社長 | 磯野 裕之 | 委員長 | 2回/2回 | 委員長 | 2回/2回 |
社外取締役 | 奈良 道博 | 2回/2回 | 2回/2回 | ||
社外取締役 | 相 幸子※ | 0回/2回 | 1回/2回 | ||
社外取締役 | 長井 聖子 | 2回/2回 | 2回/2回 | ||
社外取締役 | 小川 広通 | 2回/2回 | 2回/2回 |
王子ホールディングスは、取締役会が会社の持続的成長と中長期的な企業価値向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図る上で、役員報酬制度が果たす役割を重視し、制度設計を行っています。報酬体系および決定方針は、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」に定めており、役員報酬は、固定報酬である基本報酬、および短期的な業績に応じた報酬である賞与ならびに中長期的な企業価値向上を反映する株式報酬によって構成され、報酬委員会の答申を受け、取締役会において決定しています。なお、賞与の考課には、ESG評価項目の達成状況についても総合的に勘案されています。
賞与や株式報酬の業績連動方法等の詳細につきましては、有価証券報告書をご参照ください。
役職 | 固定報酬 | 業績連動報酬 | 計 | ||
---|---|---|---|---|---|
賞与 | 株式報酬 | 計 | |||
代表取締役会⻑ | 50% | 25% | 25% | 50% | 100% |
代表取締役社⻑ 社⻑グループ経営委員 | 50% | 25% | 25% | 50% | 100% |
代表取締役副社長 副社長グループ経営委員 | 50% | 25% | 25% | 50% | 100% |
取締役 専務グループ経営委員 | 50% | 25% | 25% | 50% | 100% |
取締役 常務グループ経営委員 | 50% | 25% | 25% | 50% | 100% |
社外取締役 | 100% | — | — | — | 100% |
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額 (百万円) |
対象となる役員の員数(名) | ||
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固定報酬 | 業績連動報酬 | ||||
賞与 | 株式報酬 | ||||
取締役(社外取締役を除く) | 468 | 215 | 137 | 115 | 8 |
監査役(社外監査役を除く) | 54 | 54 | — | — | 3 |
社外取締役・社外監査役 | 99 | 99 | — | — | 7 |
王子ホールディングスの「コーポレートガバナンスに関する基本方針」は、取締役会について「当社グループが営む事業に関する多様な知見と専門性のバランスに留意した取締役によって構成」することとしています。取締役の指名方針は「人格・見識に優れ、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する人物を取締役候補者として指名する」こととし、監査役には「監査役としての職務を実行できる人格・見識に優れ、高い専門性と豊富な経験を有する人物を選任する」ことを、定めています。
取締役候補の指名は、取締役会の諮問機関である指名委員会が審議を行い、取締役会に対して答申します。監査役候補の指名は、指名委員会の諮問を経て、監査役会の同意を得た後に、取締役会に対して答申します。取締役会はその答申を受け、審議・決定します。
王子グループの経営戦略の実現に向けて、取締役会が適切な経営判断を行い、業務執行の監督において高い実効性を発揮するために、取締役が備えるべき能力を以下のように特定しています。
項目 | 求められる能力 | 長期ビジョンとの関連 | ||
---|---|---|---|---|
環境問題への 取り組み |
収益向上への 取り組み |
製品開発への 取り組み |
||
企業経営 | 企業の持続性や経営戦略の実現に必要となる、基本的なマネジメント能力 | ● | ● | ● |
財務・会計 | 財務面を通じて企業の持続・成長に貢献し、また経営の監督にも必要となる能力 | ● | ||
イノベーション・製造・技術 | 持続的な製品供給体制の構築、より高いレベルの生産性の実現、環境問題への対応、培ってきたコア技術からに新たなイノベーションを起こすために欠かせない能力 | ● | ● | ● |
営業・購買・マーケティング | 社会が求めるものを把握し、適正な収入を獲得することで、企業の持続的成長のために必要な能力。生産活動の基盤となる原材料の安定調達、さらに木質原料を持続的に供給する山林マネジメントに関する能力。 | ● | ● | |
人事・人財戦略 | 企業の持続的な成長・進化、経営戦略の実現に不可欠な、多様な人財の育成・活用に関する能力 | ● | ● | ● |
グローバル | グローバルに事業を推進する王子グループにとって不可欠な、海外でのマネジメント能力 | ● | ||
ESG | 企業経営の基盤であり、持続性の上でも不可欠な、環境・社会・ガバナンスに関する能力 | ● | ● | ● |
法務・リスク管理 | 企業活動に伴う法務面での立案と実行およびリスクに対する予見や対応をおこなう能力 | ● | ● | ● |
DX | 企業活動におけるデジタル化と、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを創出する能力 | ● |
各取締役が有している能力は以下のとおりです。
氏名 | 当社における地位 | 指名報酬委員会 | 取締役が有している能力 | ||||||||
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企業経営 | 財務・会計 | イノベーション・製造・技術 | 営業・購買・マーケティング | 人事・人財戦略 | グローバル | ESG | 法務・リスク管理 | DX | |||
加来 正年 | 代表取締役会長 | 〇 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
磯野 裕之 | 代表取締役社長 社長グループ経営委員 |
〇 (委員長) |
● | ● | ● | ● | ● | ||||
進藤 富三雄 | 代表取締役副社長 副社長グループ経営委員 |
● | ● | ● | ● | ● | |||||
鎌田 和彦 | 取締役 専務グループ経営委員 |
● | ● | ● | ● | ● | |||||
青木 茂樹 | 取締役 常務グループ経営委員 |
● | ● | ● | |||||||
長谷部 明夫 | 取締役 常務グループ経営委員 |
● | ● | ● | |||||||
森平 高行 | 取締役 常務グループ経営委員 |
● | ● | ● | |||||||
小貫 裕司 | 取締役 常務グループ経営委員 |
● | ● | ● | |||||||
奈良 道博 | 社外取締役 (独立役員) |
〇 | ● | ● | |||||||
長井 聖子 | 社外取締役 (独立役員) |
〇 | ● | ● | |||||||
小川 広通 | 社外取締役 (独立役員) |
〇 | ● | ● | |||||||
福田 佐知子 | 社外取締役 (独立役員) |
〇 | ● | ● |
当社取締役会は、取締役会の実効性の分析・評価を毎年実施し、取締役会全体の実効性確保のために必要な措置を講ずるとともに、その結果の概要を開示することを「コーポレートガバナンスに関する基本方針」で定めています。
2023年度の取締役会の実効性を評価するため、2024年4月から5月にかけて、取締役・監査役全員を対象とし、取締役会の役割・構成・運営に関するアンケートを実施しました。評価結果については、社外取締役が参加する報酬委員会で分析を実施後、その分析結果に基づき、取締役会において審議を実施しました。
その結果、当社取締役会は付随する会議体を含めて、実効性が確保されていることを確認しました。取締役会の役割に関し、グループ経営戦略の策定、方向性の提示ができたか、という設問に対しては、中期経営計画に沿った戦略を示すことができ、取締役会でPBR1倍対策や大型買収案件等の議論を通じて、方向性を明確に示すことができたとの回答が多くの回答者から得られました。内部統制とリスク管理体制の整備を行い、その運用状況を監督できたか、という設問に対しては、管理体制と運用状況は充実してきたものの、実際のルール違反や災害発生を撲滅できていないことから、引き続き体制強化が必要との声がありました。ステークホルダーとの建設的な対話を促進したか、という設問に対しては、IRに力を入れてきた現状を評価する意見が多く見られたものの、取締役会として対話は不十分との意見もありました。また、構成については、前年度と同じ現在の構成をバランスが取れたものと評価しつつ、社内取締役への女性や海外人財の登用が課題であるとの認識が共有されています。
今回の評価を踏まえ、今後も継続的に取締役会の機能向上に必要な施策を適時検討・実施していきます。
当社は、取引先との業務提携、長期的かつ安定的な関係強化・維持等の観点から、経営戦略の一環として、事業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資すると判断される株式を政策的に保有しています。政策保有株式は、毎年取締役会において、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を個別銘柄ごとに精査し、保有の適否を検討しています。保有の合理性が希薄化した株式は、適宜・適切に売却し、政策保有株式の縮減を進めています。
2023年度は、政策保有株式の銘柄数を削減しましたが、株価の上昇を受け、保有残高は増加しました。なお、当社では2024年度から2027年度までの4年間に2024年3月末時価ベースで300億円縮減する目標を設定しました。
政策保有株式の個別銘柄の詳細等につきましては、有価証券報告書をご参照ください。
会計監査人の選定については、監査品質の維持・向上を実現するための体制を構築していること、独立性および必要な専門性を有すること、当社の業務内容に対応して効率的な監査業務を実施できる相応の規模と海外ネットワークを持つこと等を勘案し、判断しています。
また、監査役会は、会計監査人が適切に職務を遂行することが困難と判断される等の場合には、株主総会に提出する会計監査人の解任又は不再任に関する議案の内容を決定します。
このほか、会計監査人が会社法第340条第1項各号のいずれかに該当すると認められる場合は、監査役全員の同意に基づき、会計監査人を解任します。
現会計監査人である有限責任監査法人トーマツについては、その監査遂行能力を①監査法人の品質管理、②監査チーム、③監査報酬等、④監査役とのコミュニケーション、⑤経営者等との関係、⑥グループ監査、⑦不正リスクの7項目を監査役会が評価し、会計監査が適正に行われることを確保する体制を備えていると判断し、2023年度における会計監査人は有限責任監査法人トーマツを再任することに監査役会で同意しました。
なお、業務執行社員のローテーションに関しては公認会計士法等の規程に則り、次の通り運用しています。