企業価値の向上には、自社だけでなくサプライチェーン全体での法令遵守と社会的責任の遂行が不可欠です。グローバル化の急速な進展と共に、社会的課題への対応が注目されており、特に原材料調達におけるサステナビリティへの配慮が強く求められています。
王子グループは、サプライヤーとの継続的な対話を通じて、責任ある原材料調達を推進し、持続可能な社会への貢献を目指しています。
サプライチェーンリスク(環境リスク、人権リスク 他)およびその対策に関する事項については、サステナビリティ推進委員会で審議し、取締役会が監視・監督します。
目標 |
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実績 |
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王子グループは、サプライチェーンにおける実態把握とリスク管理を強化する目的で、2020年度から取引額および品目を基に選定した主要サプライヤーに対し、アンケートによるサステナビリティ調査を実施しています。
このアンケート調査は、国連グローバル・コンパクト(UNGC)のガイドラインに準拠しており、王子グループとサプライヤーが共に持続可能な社会への貢献と社会的責任を果たすための重要な取り組みです。本調査結果は、今後サプライヤー・スクリーニングを行う際の判断材料としていきます。
2023年度に王子グループが実施したサステナビリティ調査は、203社を対象に行われ、150社から回答を得ることができました。2020年度から2023年度までの総計では955社、回答サプライヤー数は702社、回答率は約74%です。ESG観点からの8項目を合計した全体の平均点は、475点(満点800点)で、得点率は約59%となりました。平均点の高い項目は「労働」で67点、平均点の低い項目は「コーポレートガバナンス」で53点でした。
また、2023年度の調査では、Dランクは19社、Eランクは16社となりました。
得点ランク | 基準 | 件数 |
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Sランク | 750以上 | 25 |
Aランク | 650以上750未満 | 53 |
Bランク | 500以上650未満 | 294 |
Cランク | 250以上500未満 | 224 |
Dランク | 100以上250未満 | 57 |
Eランク | 100未満 | 49 |
合計 | 800点満点 | 702 |
王子グループでは、サプライヤー・サステナビリティ調査の回答結果に基づいて、『王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針』に記載された項目の遵守と実行を促すための指導(フォローアップ)を行い、継続的な改善に努めています。 今後は回答率の向上を目指すとともに平均点を大幅に下回るサプライヤーに対しては、アセスメントを継続する予定です。また重点サプライヤー・クリティカルサプライヤーについては、人権DD/環境DDの対象として、段階的に取り組んでいく方針です。
王子グループは、取引のあるサプライヤーに対して、『責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料(経済産業省)』に準拠したリスク評価を行いました。人権リスクの特定には以下4つの視点から評価を実施しました。
この評価により、リスクが大きいと判断される62社のサプライヤーを特定し、これらの企業に対して優先的に人権デュー・ディリジェンスを実施しました。
実施の詳細については、王子ホールディングスの下記公開情報サイトをご覧ください。
2022年度には、これまで調査対象としていなかった購入原紙に含まれる木材パルプ(原紙メーカーが調達)に関する合法性の調査を実施しました。顧客指定原紙を除く531銘柄の中で、5銘柄の木材由来が不明でしたが2023年度より切替えを推進し、2024年5月までに全ての購入原紙について100%使用木材の合法性が確認された原紙に切り替わりました。
調査対象 | 銘柄数 | 割合 | 備考 | |
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購入原紙 | 531 | 100% | 顧客指定原紙を除く | |
内訳 | 使用木材の合法性が確認できている原紙 | 531 | 100% | 森林認証を取得 |
使用木材の由来が不明な原紙 | 0 | - | 切替え完了 | |
その他原紙 | 39 | - | 顧客指定原紙 |