Governance ガバナンス

リスクマネジメント

リスクマネジメント

王子グループは、「王子グループ企業行動憲章」に掲げる高い倫理観にもとづいた企業活動を推進し、適切なリスク管理を実践しています。事業展開地域の急速な拡がりに合わせて、グローバルにリスク管理体制を強化し、事業の継続と安定的発展を担保します。

リスク管理の流れ

王子グループは、取締役会による整備・監督のもと「グループリスク管理基本規程」を定め、次の流れでリスク管理に取り組んでいます。
王子ホールディングス取締役は、管掌する事業・部門におけるリスクに関する取締役会への報告責任を持ちます。
また、王子ホールディングス取締役会は、リスク管理の有効性について、毎年評価を実施しています。

リスク管理の流れ

王子グループのリスク管理体制は下図のように構成され、監査部門とは独立して運営されています。
監査役会および内部監査部は、リスク管理状況についても監査を実施しています。

リスク管理体制
リスク管理体制

情報セキュリティへの取り組み

王子グループは、事業活動に伴い獲得する情報を重要資産に位置付け、IT環境の高度化や、情報漏洩、不正アクセス、巧妙化するランサム被害等のサイバー脅威、自然災害に対応すべく、グループ全社で情報セキュリティの推進体制を整備しています。王子ビジネスセンターを情報システムリスク管理統括部門として、情報システムリスクに対するグループ横断的な点検を行い、情報セキュリティの維持管理と改善に取り組んでいます。また同部門内には、サイバーインシデントに即応する専門チームを設置し、最新のリスク動向を常に把握しつつ、インシデント発生時の支援や、計画的な対応施策の検討・提案、社内広報誌での啓蒙活動および情報発信、標的型メールに対する定期訓練などを実施しています。
最近ではクラウド利用の拡大、リモートワークの普及など働き方の変化や、改正個人情報保護法への対応として、規定の見直しを実施しています。引き続き施策の定着を図るとともに、高度化するサイバー犯罪に対抗するべく、情報セキュリティを強化していきます。

情報セキュリティ体制図

王子グループの財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを、長期的な課題に対するリスク、グループ経営戦略に関するリスク、事業遂行の過程で発生するリスクの3つに分類し、以下の対応策を取っています。
各アイコンはサステナビリティ重要課題を表します。

こちらの表は横にスクロールしてご覧いただけます。
リスク項目 リスク内容 リスクへの主な対応策
長期的な課題に対するリスク

気候変動

気候変動の緩和・適応

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

パンデミック

パンデミック パンデミック

新型コロナウイルスと同様な感染症の世界的拡大により、社員の健康被害や操業の一時停止などが生じるリスク
  • 「グループリスク管理基本規程」を定め、グループ全体で対応すべき重大な事案が発生した場合には、グループ緊急時対策本部を設置し、従業員の安否確認や被災状況の把握を行います。
  • BCP(事業継続計画)の継続的な見直しや、製造、マーケティング、事務処理等へのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などにより、事業活動への影響を最小化するよう努めていきます。
グループ経営戦略に関するリスク

イノベーションの進展による構造的な需要の変容

イノベーションの進展による構造的な需要の変容 イノベーションの進展による構造的な需要の変容

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の動きが人々の生活様式や企業活動に大きな変化をもたらし、構造的に需要が変動するリスク
  • 市場が縮小している国内事業については、生産体制再構築を進めるとともに業界他社との業務提携等によって合理化を追求し、コスト削減の徹底および効率的な設備投資により、キャッシュ・フローの確保に努めています。得られたキャッシュは、需要の伸びが期待できる国内事業や海外において経済発展が見込まれる地域への投資、および新素材の製品開発等に振り向け、ポートフォリオの拡充を図っています。
  • 中長期的な企業価値向上を図り、持続的発展を遂げるため、多様な人財が活躍できるよう働き方改革とダイバーシティの推進にも取り組んでいきます。

需要の変動

需要の変動

国内における景気の変動や人口の継続的な減少などにより、製品の需要が減少するリスク
  • 徹底したコストダウン等により、市況変動に耐え得る事業基盤の強化に取り組んでいます。
  • 産業資材分野において、トータルパッケージングの推進や、素材・加工一貫経営によって製品開発力を強化することにより他社との差別化を図り、需要が変動した場合でも販売への影響を抑制するとともに、コスト競争力を確保する取り組みを行っています。
  • その他の事業分野でも、脱プラスチック化となる紙製品や新たな特性を付与した機能紙等、新製品の開発を進め、収益の向上に努めています。

国際市況の変動

国際市況の変動 国際市況の変動

原燃料調達価格が、需要動向や各国の貿易政策の変化、戦争等の影響を受けるリスク
各種パルプの販売価格が、国際市況価格の影響を受けるリスク
  • 原燃料調達関連市場のモニタリングや多様な調達先の確保等に努め、有利調達を推進するため、横断的にグループの調達戦略を担う部門を設置しています。
  • 「王子グループ・サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を定め、サプライチェーン全体で原材料の安全性・合法性を確認し、さらなる環境や社会に配慮した調達活動に取り組むとともに、サプライヤーとの関係を強化しつつ、安定調達を図っています。
  • 古紙の調達については、古紙リサイクルシステムの維持に努めるとともに、関係各社との関係強化により、古紙の安定調達を図っています。

海外事業

海外事業

事業進出している海外の地域で、戦争、政治・社会情勢の不安、経済成長の鈍化、法規制・税制等の改定、金融情勢の不安定化、人権問題などが生じる地政学リスク
  • 周辺国の政治・経済・社会情勢に関する情報収集を専門的に行う地域統括会社を設置し、リスクが顕在化する前に、先回りした対応が取れるように努めています。また、幅広い国々に事業展開することにより、リスクを分散しています。
  • 現地の有力企業と合弁で事業展開をすることにより、情報収集力を高めるとともに、投資額を抑制し、リスク低減を図っています。
  • 人権問題については「王子グループ人権方針」を制定し、周知徹底を図るとともに、人権尊重の取り組みを行っています。
事業遂行の過程で発生するリスク

災害等の発生

災害等の発生 災害等の発生

国内外の生産拠点、サプライチェーンが自然災害の被害を受けるリスク
火災や労働災害、環境事故などの不測の事態が生じるリスク
  • 災害等による事業中断リスクに対して、BCP(事業継続計画)を策定するとともに、防災教育や防災訓練を定期的に実施しています。また、グループ防災事務局を常設し、最新情報を迅速に入手できる体制を整えるとともに、災害における事例の原因や対策をグループ内で横断的に情報共有し、被害極小化に努めています。
  • 環境面では、環境規制値よりも自主管理値を厳しく設定する等、環境事故の防止に努めています。
  • 安全面では、生産設備の安全対策や安全作業手順書の整備、周知徹底を図るとともに、安全衛生管理体制を構築し、労働災害の防止に努めています。

法規制等

法規制等 法規制等

さまざまな国の法規制、変更・改正を遵守できないリスク
  • コンプライアンスの遵守は、王子グループの企業活動における重要経営課題の中でも最上位に位置付けています。「王子グループ企業行動憲章・行動規範」は国内だけでなく、各海外拠点においてもそれぞれの言語に翻訳、周知し、実践に努めるとともに、所管する部門が中心になって法規制等についての研修を行う等、法令違反が発生しないよう、徹底を図っています。
  • 「王子グループ税務方針」を定め、事業を展開する各国の税務法令等を遵守した適正な納税を通じて、企業価値の向上と社会からの信頼実現に努めます。

訴訟等

訴訟等 訴訟等

事業の過程で訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスク
  • 王子グループへの訴訟等に対しては、取引先との協議や契約内容の明確化により紛争を未然に防止するとともに、訴訟等を受けた場合は、弁護士事務所と連携し、対応する体制を整備しています。
  • 訴訟等によりレピュテーションに悪影響を及ぼす事象が生じた場合は、対象の事象に迅速に対応するとともに、必要に応じて適切な情報を公表し、王子グループのレピュテーションの維持に努めます。

製造物責任

製造物責任

製造物責任に基づく損害賠償請求を受けるリスク
  • 「グループ品質管理規程」を定め、品質管理体制を構築し、関連法規の遵守および自主管理値に従った品質設計および製造を行うことで、安全安心な製品の提供を行っています。
  • 「グループ製品安全管理規程」を定め、グループ各社の品質管理部門が行う製品の安全管理を、グループ横断的に統括する部門が支援および監査を行い、製造物責任に関するリスクの発生防止に努めています。

為替変動

為替変動 為替変動

製品販売、原材料調達等のさまざまな通貨を用いた取引において、為替レートの変動の影響を受けるリスク
  • 為替の動向や王子グループの業績への影響等を適宜モニタリングし、必要に応じ、先物為替予約取引や通貨オプション取引および通貨スワップ取引等のデリバティブを活用してヘッジを行います。
  • 国内においては、外貨建ての営業債権と外貨建ての営業債務をグループ国内会社間で相互に融通しあうことで、為替変動リスクの一定部分をヘッジしています。

情報漏洩

情報漏洩

外部からのサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、機密情報が流出するリスク
  • 「グループ情報システム利用・リスク管理規程」により、リスク管理運用体制・組織およびその役割について明確化するとともに、情報システム利用者が遵守すべき事項を網羅的に定めることにより、グループ横断的なリスク管理を行っています。
  • 機密性の高い情報については、規程による利用方法の厳格化を行い、不正アクセス、データ盗取、メールのなりすまし等に対する防止策等を講じています。