王⼦グループの安全衛⽣管理体制はグループ従業員ならびに協⼒会社・臨時⼊構業者の労働災害の防⽌と健康の保持促進を図るため、安全衛⽣に関する責任体制を明確化し、グループ安全衛⽣管理規程において基本事項を定めています。
国内外事業場において、責任と権限を有する事業場長が安全衛生の責任者として、安全衛生に関する業務を統括管理し、安全衛生管理体制を確立しています。国内においては労働安全衛生法に規定の規模・業種に関わらず、事業場を統括管理する工場長・事業所長等を総括安全衛生管理者に選任しています。
王子グループでは「コンプライアンス・安全・環境の徹底が企業活動の根幹」「安全絶対優先の基本原則」の方針のもと、王子グループ企業行動憲章や王子グループ行動規範において、労働安全・衛生についても定めています。グループ全従業員一人ひとりが責任を認識して実践・遵守し、労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成の促進、より良い職場安全風土の構築など、王子グループで働く仲間が、安全な環境で安心して働くことができる企業であるよう、取り組んでいます。
王子グループでは、毎年、前年の安全成績や反省を踏まえたグループ安全衛生推進計画を策定し、グループ各社に配信。グループ各社は、そのグループ安全衛生推進計画に基づき、各社・各事業場の安全衛生推進計画と具体的な活動計画を策定し、グループ従業員だけでなく、協力会社や臨時入構業者が一体となって、労働災害撲滅を目指した活動を推進しています。
王子グループでは、2023年(10月末現在)、業務死亡災害が3件(国内:リフト・重機1件、海外:崩壊・倒壊1件、火災1件)、通勤死亡災害が1件、カウント外業務死亡災害が2件(海外:はさまれ・巻き込まれ1件、墜落・転落1件)発生している。また、死亡災害を含めた休業災害が61件(昨年58件、年間69件)発生し、安全大原則や職場の安全ルールを守らなかった事例は27件(昨年27件)発生している。これらの状況を踏まえ、今年も安全大原則や安全ルールを守り守らせることをスローガンとして掲げる。同時に、機械・設備の安全化推進、特に、リフトや重機との接触災害防止対策を進め、目標である「死亡・重篤災害ゼロ」の達成、休業災害件数を減少させる取り組みを展開する。
王子ホールディングス安全部は、グループ安全衛生推進計画や安全衛生に関する通達・ガイドラインなどの安全衛生情報や労働災害報告書などをグループに配信しています。
万一、死亡・重篤災害が発生した場合には、グループリスク管理基本規程に報告ルートを定め、速やかに経営層に報告し、的確な管理ができる体制を構築しています。
労働災害(休業1日以上)が発生した事業場には、災害発生後3日以内に休業災害発生報告書(様式1号:速報)を安全部に提出し、王子ホールディングス安全部は基本的な災害発生状況・原因・対策を確認した上で、国内外のグループ会社に配信して、情報共有と類似災害防止の水平展開指示を行なっています。
さらに、労働災害(休業1日以上)が発生した事業場は、災害発生後1か月以内に災害発生状況・原因を詳細に調査・分析し、再発防止対策や水平展開を検討・実施して休業災害発生報告書(様式2号:詳報)を王子ホールディングス安全部へ提出します。王子ホールディングス安全部は有効な災害再発防止対策がとられていることを確認した上で、国内外のグループ会社に配信して、グループ各社・各事業場の類似災害再発防止の参考とするよう指導しています。
国内事業場は、法律に則り、各事業場に安全衛生委員会を設置し、労働災害の防止、健康障害の防止、快適な職場環境の形成、健康の保持増進に関する計画の策定と取り組み状況等の確認と改善について毎月話し合っています。
また、安全衛生委員会の設置が義務づけられていない小規模の事業場においても、安全衛生委員会、もしくは、それに準じた安全衛生会議や職場安全衛生会議、職場懇談会等を毎月開催し、多くの従業員から意見を聞く機会を設けるなど、労使一体となった安全衛生活動を展開しています。
さらに、王子グループの国内会社・事業場においては、協力会(構内請負会社)と全従業員が一体となった安全衛生活動に取り組み、風通しの良い職場環境をつくるためにも必要不可欠なものであることから、協力会との安全衛生会議への相互出席や合同開催、非正規社員や派遣社員も含めた安全衛生会議を開催しています。新型コロナウイルス感染症予防のため、Web会議形式の会議も進められています。
なお、海外会社・事業場においても、各国・現地の法令に則り、各事業場に安全衛生委員会の設置や安全衛生管理を推進する他、事業場内に安全衛生に関して従業員の意見を聞く職場安全衛生会議や職場懇談会等を設置しています。
グループCEOをはじめとする経営層とグループ各社の労働組合との間で中央労使委員会を年2回開催しています。グループ安全衛生推進計画に基づく安全衛生活動や労働災害発生状況と再発・未然防止の取り組みなどについて情報を共有し、王子グループで働く従業員が「安全絶対優先」できる職場環境、家族が安心できる事業場の構築について討議しています。
国内グループ会社では、王子製紙、王子マテリア、王子エフテックス、王子ネピアなどの大規模会社と複数の中小規模会社では、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(OSHMS指針)」に則した労働安全衛生マネジメントシステムを構築し運用しています。また、その他の国内グループ会社においても「安全衛生方針の表明、労働者の意見の反映、安全衛生目標、安全衛生計画と実施、日常的な点検、改善等」などの労働安全衛生マネジメントシステムに準じた安全衛生活動を展開しています。
海外グループ会社においても、各国の労働安全衛生を所管する組織が推奨する労働安全衛生マネジメントシステムを構築して運用や同等の安全衛生活動を展開しています。
今後、ISO45001(Occupational health and safety management systems)に準拠した活動や認証取得を検討してまいります。
グループ安全衛生推進計画の重点施策に「設備の安全化推進」を掲げ「全員参加型のリスクアセスメントを積極的に行い、事業体、事業場トップならびに管理監督者が責任を持って、具体的な安全対策を実施し、災害防止を図る。」とし、回転体近傍作業の安全対策、高所作業時や屋根からの墜落・転落防止措置、荷役運搬、荷役重機・揚重機との接触防止対策、コンベア・ベーラー・パルパーの安全対策、被液対策を中心にリスクアセスメントに取り組み、本質安全化や工学的対策などの繰り返し災害防止に有効な具体的対策を講じることにより、再発防止・類似災害防止に努めました。
カンパニー分類 | 産業資材カンパニー | 生活消費財カンパニー | 機能材カンパニー | 資源環境ビジネスカンパニー | 印刷情報メディアカンパニー | コーポレートマネジメントグループ | シェアードサービス会社 | 王子ホールディングス | 総合計 |
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リスクの特定方法 | |||||||||
作業手順書に基づくリスクの特定 | 2,064 | 612 | 2,354 | 261 | 3,774 | 63 | 417 | 575 | 10,120 |
災害事例の水平展開 | 4,698 | 316 | 296 | 459 | 392 | 279 | 353 | 182 | 6,975 |
安全パトロール・監査指摘事項 | 5,803 | 55 | 615 | 322 | 282 | 151 | 1,241 | 127 | 8,596 |
その他(ヒヤリハット他) | 24,180 | 656 | 525 | 648 | 4,087 | 342 | 1,753 | 256 | 32,447 |
合計 | 36,745 | 1,639 | 3,790 | 1,690 | 8,535 | 835 | 3,764 | 1,140 | 58,138 |
2023年も2022年同様にグループ安全衛生推進計画の重点施策に「機械・設備の安全化推進」を掲げ、「過去の災害要因※を踏まえたリスクを漏れなく洗い出し、各社・各事業場トップならびに管理監督者が責任を持って、具体的かつ速やかな安全対策を計画・進捗管理し、安全部門・技術部門が連携して、労働災害の未然防止・再発防止を図る。」としています。さらに各種災害事例やヒヤリハット、各種安全パトロール・監査指摘事項を基に、リスクアセスメントを積極的に行い、再発防止および類似災害の未然防止を図っていきます。
王⼦ホールディングス安全部や各カンパニー・各主管会社の安全担当部署は、海外も含めた所管会社・事業場の安全衛⽣管理レベルの向上を図るために、安全監査・安全パトロールを実施しています。また新たな取組みとして強化安全巡視における定点観察を開始するとともに、機械・設備の安全化推進にも積極的に取り組んでいます。
王子ホールディングス安全部や各カンパニー・各主管会社の安全担当部署は、「安全管理特別指導事業場指定制度」を設けています。死亡・重篤災害の発生や休業災害が短期間に連続発生する等、安全管理上の改善が必要と認められる会社・事業場を、安全管理特別指導事業場に指定し、再発防止対策だけでなく、安全管理体制、改善計画・活動状況等の点検・指導を行い、安全管理レベルの改善・向上を図っています。王子ホールディングス安全部と各カンパニー・各主管会社の安全担当部署は、情報共有、連携を図り、災害防止に努めています。
王子ホールディングス安全部や各カンパニー・各主管会社の安全担当部署は、災害が発生した事業場にただちに出向き、発生状況・原因・対策の確認だけでなく、事業場幹部や災害発生職場の管理職と再発防止対策や日頃の安全管理活動についても深掘りした確認と議論を行い、事業場全体の安全管理活動改善、より良い職場安全風土の構築の指導をしています。