王子グループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※)に2020年12月に賛同し、本タスクフォースが推奨する気候関連情報開示に取り組んでいます。
気候変動を含むサステナビリティへの取り組みを経営の重要課題の一つと認識し、2022年4月にサステナビリティ推進委員会およびサステナビリティ推進本部を設置しました。サステナビリティに関するコミットメントを果たす上で重要な事項について、サステナビリティ推進委員会で審議し、取締役会が監視・監督します。
サステナビリティ推進委員会は、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する統括責任者である、王子ホールディングスの代表取締役社長(グループCEO)を委員長、取締役(全カンパニーのプレジデントと女性社外取締役を含む)を委員として年2回開催され、サステナビリティに関するリスクおよび対策について協議します。協議事項は重要性に応じてグループ経営会議に付議・報告され、グループ経営会議の審議を経て、取締役会において執行決定されます。
サステナビリティ推進本部は、グループの統括管理部門として、気候変動関連のグループ横断的なリスク・機会を特定し、グループ内への浸透を図るとともに、サステナビリティ推進本部の管掌取締役に毎月報告し、グループ経営会議に年2回付議・報告します。重要なリスク・機会は管掌取締役の判断のもと、取締役会に報告します。また、サステナビリティ推進委員会の事務局として、サステナビリティ推進委員会の決定事項を推進します。
気候関連のリスクと機会を下表のように分析し、2030年に向けた中期の炭素税等の政策・規制による移行リスク、2050年に向けた長期の降水・気象パターンの変化等の物理的リスクおよび中・長期の低炭素製品の需要増加機会について、その重要性を認識しています。
脱炭素社会への移行に対応すべく、GHG排出削減目標を定め、石炭使用量削減や森林によるCO2純吸収量の拡大、プラスチックを代替する木質由来製品の開発などに取り組んでいます。これまでの取り組みを継続することにより、脱炭素社会への移行が事業に及ぼす影響は限定的と認識していますが、今後もリスク分析を継続し、レジリエンス※1を強化していきます。
リスク分析は、サステナビリティ推進本部が社外の専門家の協力を受けてグループ横断的に整理し、サステナビリティ推進委員会にて重要度と優先順位を協議しつつ実施しています。事業・戦略・財務に及ぼす影響は、1.5℃(2℃)と4℃のシナリオを活用して中期(2030年)と長期(2050年)で整理し、定量的または定性的に評価※2します。
戦略に基づくグループの気候関連リスク対応は、サステナビリティ推進本部が統括管理し、サステナビリティ推進委員会が進捗を管理します。特にGHG排出量の削減については、プロジェクトチームを編成し、石炭使用量の削減や森林によるCO2純吸収量の拡大に取り組んでいます。また、重要性に応じてグループ経営会議に付議・報告され、全社的なリスク管理と統合されます。
パリ協定における1.5℃目標を踏まえ、以下の目標を策定しました。また、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)のネット・ゼロ・エミッション(NZE: Net Zero Emissions)シナリオの炭素価格:140 USD/t-CO2(先進国における2030年の水準)を内部炭素価格(ICP: Internal Carbon Price)として引用し、リスク分析や投資判断の評価項目に使用しています。
タイプ | ドライバー (事業への影響を発生させる要因) |
事業環境の認識 | 事業への影響 | 戦略と対応策 | ||||
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1.5℃(2℃) シナリオ |
4℃ シナリオ |
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2030 | 2050 | 2030 | 2050 | |||||
移行リスク | 政策・法規制 | 化石燃料由来のエネルギー価格変動 | エネルギーミックスの変化により、化石燃料由来のエネルギーを用いた調達や電力についてコストが増加 | 小 | 小 | 小 | 小 |
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CO2排出規制の強化 | 炭素税や排出権取引の導入または強化により、エネルギー消費やクレジット運用コストが増加 | 大※ | 小※ | 中※ | 小※ | |||
市場 | ステークホルダーの低炭素製品・サービスへの関心の高まり | 消費者の脱炭素への意識が高まることにより、化石燃料由来のエネルギー消費製品・サービスに対する不買運動が増加 | 小 | 小 | 小 | 小 |
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評判 | ステークホルダーからのネガティブフィードバック |
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中 | 中 | 小 | 小 |
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物理的リスク | 急性 | 異常気象事象の激甚化 | 大規模な自然災害発生による拠点の被災やサプライチェーンの寸断等の事業停滞 | 小 | 小 | 小 | 小 |
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慢性 | 降水・気象パターンの変化や平均気温上昇 | 主原料となる樹木の生育状況悪化等に伴い調達コストが増加 | 小 | 小 | 大 | 大 |
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機会 | 資源効率 | 資源有効活用 水の使用と消費の削減 |
洪水や干ばつ、降水量の変化や水ストレス地域でのクリーンな水需要の増加により、高度な水処理技術・用水管理の需要が増加 | 小 | 小 | 中 | 中 |
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エネルギー源 | エネルギーの低排出源使用 | 脱炭素社会の実現に向け再生可能エネルギーの需要が増加 | 小 | 中 | 小 | 小 |
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製品とサービス |
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脱炭素、環境に対する意識が高まり、低炭素・環境配慮型製品の需要が増加 | 大※ | 大※ | 大※ | 大※ |
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市場 | インセンティブの使用 |
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小 | 中 | 小 | 小 |
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